「仕事のやり方」
「なあ、モモ」
「とっても長い道路を受けもつことがよくあるんだ。おっそろしく長くて、これじゃとてもやりききれない、こう思ってしまう。」
「そこでせかせかと働きだす。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげて見るんだが、いつ見ても残りの道路はちっともへってない。
だからもっとすごいいきおいで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息が切れて、動けなくなってしまう。
こういうやりかたは、いかんのだ。」・・・
「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸(いき)のことだけ、
つぎのひとはきのことだけ考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」
「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃだめなんだ。」
「ひょっと気がついたときには、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶ終わっとる。どうやってやりとげたかは、自分でもわからん。」
「これがだいじなんだ。」
モモ ミヒャエル・エンデ著 岩波書店
P.48-49
道路掃除夫ベッポ 仕事のやりかたをモモに語る