「無力と微力の二人の天使」
てんつくマンメールマガジン『感動無き続く人生に興味なし』
2007年3月31日配信分より転載
その街に二人の天使が舞い降りた。
その街に降りてから天使は十月十日眠り続けた。
目を覚ますと、天使は自分が天使であることを忘れていた。
天使が舞い降りたその街はゴミだらけの街だった。
あまりにものゴミの多さや、人の心に天使は悲しくなった。
一人の天使は自分を無力と呼び始めた。
一人の天使は自分を微力と呼び始めた。
無力の天使の口癖は
「私だけがゴミを拾ってもしょうがない」
微力の天使の口癖は
「私は私が出来ることをやってみるわ」
無力の天使はゴミだらけの街を見て絶望を感じて
街から目をそらして、毎日空をながめていた。
微力の天使は一度は絶望を感じたものの
一日一個、ゴミを拾い始めた。
一年後、無力の天使は空の素晴らしさをいっぱい知った。
朝日の美しさ、夕日の美しさ、虹がかかった時の素晴らしさ。
一年後、微力の天使は微笑んだ。
街から365個のゴミが無くなった。
それから一年、さらに無力の天使は空の素晴らしさをいっぱい知った。
空や雲の変化を面白いなと見つめていた。
その頃、微力の天使は毎日「ありがとう」って言いながら毎日を過ごしていた。
それは、微力の仲間がいっぱい増えたから。
「一緒に拾うよ、私の力も微力だけど、一緒にゴミを拾うよ」
10人の微力達が一緒に拾った。
一年たったら3650個のゴミが無くなった。
それから、一年、無力の天使は空の美しさだけでなく、
街の美しさにも気づき始めた。
街がピカピカになっていた。
なんと、街では1000人がゴミを拾っていて、
一年間で365000個のゴミが無くなって
大変の意味が変わっていたのです。
微力の天使は言いました。
「始めはゴミを拾うのは大変でした。」
「でも、今は拾うゴミを見つけるのが大変です。」
この街はある日から、ゴミを拾う人も増えたけど、
ゴミを捨てない人も増えたのです。
あの人が拾っているゴミは私が捨てたゴミ。
私はゴミを拾うことは出来ないけれど、
ゴミを捨てるのをやめよう。
微力の天使は誰も否定をしませんでした。
微力の天使は自分が出来ることをやっただけなのです。
無力の天使の心に変化が生まれました。
無力の天使の心から絶望が消えていったのです。
そして、無力の天使も「ありがとう」を言いました。
ゴミを拾ってくれてありがとう。
お礼に無力の天使は微力の天使に空の美しさを教えてあげました。
次の日、二人の天使はゴミを拾いました。
正式には、ゴミを探すために歩きました。
しかし、ゴミは見つかりませんでした。
夕方になると、空がピンク色になりました。
素敵な空を見ながら、二人の天使は幸せを感じました。
ぴかぴかの街と、美しい空を見ながら
二人の天使は二つのことを学びました。
自分を無力という天使は言いました。
「あなたが動いてくれたから、この街は天国になったんだ
天国は動いたら創れるんだね」
自分を微力という天使も言いました。
「私は下ばかり見ていたから空の美しさを知らなかった。
でもあなたが空の美しさを教えてくれたから気づけたことがあるよ。
それはすでにここは天国だということ」
今はすでに天国
そして、動けばさらに天国が増える。
二人の天使は少しだけ
自分の背中に翼があることに気づけました。
あなたは天使だよ。
あなたこそ天使だよ。
みんな天使だね。
この言葉を読んでいるあなたも天使。
そう、みんな天使。
- 2007年3月17日(土)