内部統制は「必要」か?
現在、内部統制はさまざまな観点からその重要性が高まってきており、企業においては、有効な内部統制を構築することは喫緊の課題といえるでしょう。
しかしながら、「内部統制をつくらなくては」とか、「内部統制が必要だ」といった受け止め方にはある種の誤解があるといえるでしょう。内部統制は「必要」なのではありません。
内部統制は組織内において業務に組み込まれたプロセスです。(会計帳簿をつける。在庫の管理、実地棚卸の実施等)
内部統制は、すべての企業に、すでに存在するのです。
今議論され、求められているのは、そうした既存の内部統制を可視化すること「見える化」を図ることに他なりません。
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自社で行われている業務を知り、重要なプロセスに関心を高め、業務に潜在しているリスクに対応する体制を構築する、そうした取り組みを求めているのです。
内部統制の定義
「組織において、業務を適切に進めるための決まりごとを設け、組織の人々がそれに基づいて業務を行っていくプロセス」
適切な決まりごとがおかれているか 「整備状況」
その決まりごとが組織に属する人によって守られているか 「運用状況」
内部統制の目的
「業務の有効性・効率性」
財務報告の信頼性
法令等の遵守
資産の保全
内部統制は、単にマイナスを防ぐシステムではなく、プラスをもたらすシステムでもある。
内部統制を構築していくに当たって、単なる法制度の対応を超えて、いかに自社にとってのプラスを生み出していくかが企業にとっての課題なのです。
「内部統制の知識」 町田祥弘著 日経文庫
[POINT]
2008年度から金融商品取引法にもとづく内部統制報告制度が開始されます。多くの企業がこの新しい制度への対応を求められています。
本書は内部統制の定義から、構築プロセス、経営者の評価、そして外部監査の内容まで、体系的にやさしく解説してます。
2007年公表の実施基準の内容に完全に対応。図表なども使いながら、「何をするべきか」を明確に示します。
内部統制の限界や今後の課題についても紹介しました。