簡単に言ってしまえば、トマトを作るの、「地球白書」を出すのも、経営のポイントは同じだと思います。要するに、いかに人々の関心をひきつけて、そして一人一人の人々にきちんと成果を出してもらう貢献を促せるかと、いうことです。今ジュンコの質問の中に「ビジョン」という言葉がありましたが、確かに組織にとって、いかなる組織であっても、明確なビジョンを持つこと、自分たちが何をしたいのか、そしてどこに行きたいのかということを明確にすることが重要だと思います。アースポリシー研究所のことを振り返ってみると、今までの環境面でのいろいろな動きは、世界的にどこを見ても、何か悪いことが起こったから、それに対して反対する、反応するということだったのではないかと思います。そもそも環境活動が起こるきっかけとなったのは、レイチェル・カーソンが『沈黙の春』という本を出したことでした。これもやはり、農薬が使われて鳥が絶滅するとか、いろいろな問題点を訴えて、それに対する反対運動といった形で始まったわけですね。すなわち、政府が悪いことをやった、どこそこの企業が悪いことをやった、これに対してリアクションをとるというのが、今までの環境の動きだったわけです。その中で今までに欠けていたことは何か、と言うと、自分たちはどういう世界を望んでいるのか、という明確な前向きのビジョンを持つことです。 |